サールナート遺跡のすぐ近くに、出土品を収蔵する考古学博物館が建っています。小規模ながらインド第一級の文化財が展示されており、一見の価値ありです。
■【柱頭四頭獅子像】
遺跡エリアに残るアショカ王柱の上部に載せられていた彫刻が、博物館の入口正面に展示されています。マウリヤ王朝期の作品で、博物館内では最古の彫刻作品です。下部には「蓮弁」があり、その上に「獅子-法輪-象-法輪-牛-法輪-馬-法輪」が彫刻されています。
この像が表すものには、それぞれに意味や由来があります。
四方を向いた4頭の獅子・・・『世界中にあまなく仏教が広がるように』という念願
法輪・・・お釈迦様の最初の説法(初転法輪)
四大聖獣
獅子・・・お釈迦様には「釈迦族の獅子」の異名があった
象・・・マヤ夫人がお釈迦様を懐妊されるとき白象の夢をみた
牛・・・お釈迦様の「ゴータマ」という名前には「最良の牛」という意味があった
馬・・・お釈迦様の出家は馬に乗って行われた
インドの国宝の中でも最も重要な作品で、インド政府の国章ともなっています。お札にも印刷されています。
■【転法輪印仏陀坐像(初転法輪像)】
ガンダーラ・マトゥーラで1世紀頃考案された仏像は、5世紀を中心としたグプタ王朝の時代に、最も洗練された様式美を完成させました。その中の最高傑作の1つが、サルナートから出土し、考古学博物館の左館の一番奥に収蔵される転法輪印仏陀坐像でしょう。(写真は、ムラガンダクーティ寺院内に奉られたレプリカです。)
お釈迦様の「初転法輪」を表す像で、その表情は端正で慈愛に満ちています。大型の光背の上部には“飛天”が刻まれ、光背の下の両脇には“伝説の魚マカラ”、その下には“有翼の獅子レオ・グリュフ”が表現されます。印相(手の形)は「転法輪印」を組み、台座の中央には“法輪”、両脇に“五比丘”、“初転法輪を五比丘とともに聞いた鹿”が表現されています。“左端の女性と子供”はこの作品を寄進した在家の親子だと考えられます。
その他、仏陀や神々の像、仏教説話のレリーフなど、さまざまな彫刻が展示されています。
入口でX線検査を受けて入場します。館内は写真撮影禁止で、カメラやビデオなどの撮影機器は一切、持ち込めません。
※当社企画ツアーでは、サールナートを訪れる日が休館日(金曜)にあたる場合、ご見学いただけません。
<<< サールナートを訪れるツアーはこちら >>>