「階段井戸」とは、地下水を利用した、インドの伝統的な水管理システムの技術です。
貴重な水を供給するだけでなく、水の蒸発を利用した天然のクーラーとしても利用されました。
紀元前3000年頃より建設が始まったといわれ、厳しい自然環境に暮らす人々の智恵が生み出したものですが、長い年月を経て、いつしか世界中に感銘を与えるほどの美しい芸術品となりました。
大小さまざまありますが、インド西部・北部の乾燥地帯に多く見られます。
■グジャラート州パタンの『ラーニー・キ・ヴァブ』【世界遺産】
特に有名なのは、インド北西のグジャラート州・パタンのサラスヴァティ河近く、11世紀頃に建造された『ラーニー・キ・バブ階段井戸』。
『王妃(ラーニー)の階段井戸』という呼び方でも知られ、2014年には、世界遺産にも登録されました。
地下7層に広がり、壁や柱の隅々にまで、ヒンドゥーの神々や説話をモチーフとした500以上の神々の彫刻や、何千もの神話や伝説をモチーフとした、美しく精密なレリーフで埋め尽くされています。
グジャラート最古の階段井戸、そしてインドで最も美しい階段井戸と称されます。
中心都市アメダバードから車で約3時間の道のりです。
■グジャラート州アハメダバード近郊の『ダーダハリ・ヴァブ』と『アダーラジ・ヴァブ』
ともに8角形 5層構造の地下深く掘られた階段井戸です。
アハメダバード市内からすぐの距離にあり、見ごたえも十分です。
時間にゆとりがない方は、往復6時間の遠出が必要な『ラーニー・キ・ヴァブ』よりも、こちらの観光がおすすめです。
■グジャラート州モデラーの太陽寺院のすぐそば『スーリヤクンド』
上記3つとは異なり、長方形のプールを会談で取り囲んだような構造です。